漢文を音読しょうNO,31

                                                              

 
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(一)趣味を持つことの重要性
 
      読み上げAITALKかほ
 
現在日本の勤務者、平均年齢が50才を越えているそうだ。
 
その仕事をしているときは、忙しい、時間がないと忙しく働いているので趣味、娯楽を
 
持たない人が一般的な時代なのか、この時代こそ仕事外の道楽を持つことが必要である。
 
興味あることは何でもやって試みることである。
 
その仕事に無関係なことに夢中になることがいかに精神的にも身体的にも気分一新する
 
時間をもたらしてくれる。
 
そのような楽しみを持つことによって、現在仕事していることへの新しいアイデイアが
 
生まれてくるのである。
 
良い考えはふっとした時に浮かんでくるし活力の源泉となってくる。
 
一般に人は言う、暇がないというが”忙中閑有り”で休暇のなかでの遊びは道楽には
 
ならないのである。
 
忙しいと言えるときこそ将来に役立つ道楽が育成されるのである。
 
60才以上になって暇ができたときに道楽を見つけると言う人がいるがその時には
 
絶対に趣味を道楽まで極めることができない。

忙しいという気力溢れる時に身に付けなければ他人には一切負けないような技は身に
 
付けることはできないのです。
 
又その趣味の楽しみ、没頭できるだけの気力は残っていないのである。
 
老年になってからの歩く姿、新聞を読む姿勢、読書する雰囲気からその人の道楽を
 
持っている人と持たない人の雰囲気、姿勢が違ってくる。
 
先の週にも記したように老いても若々しさを保ちピンピンコロリと逝くためには
 
若き時に夢中になれる道楽を必ず持つことである。
 
仕事だけ、勉学だけの頭脳では視野が狭いままとなる、視点を変えるためにも
 
二つ以上の趣味を持つことによって広い視野、マクロな見方ができるようになる。
 
そうすることが右脳を活発にして、左脳を働かせて同時に両脳を働かせる習慣が
 
身につける方法であろうと思う。
 
 
(二)重職心得箇条を素読しよう。
 
重職心得箇条 

佐藤一斎 1772〜1859

     素読 AITALKかほ
  
一、 重職と申すは家国の大事を取り計らうべき職にして、此の重の字を取り失ひ、

軽々しきはあしく候。大事に油断ありては、其の職を得ずと申すべく候。
 
先づ挙動言語より厚重にいたし、威厳を養ふべし。
 
重職は君に代わるべき大臣なれば、大臣重うして百事挙がるべく、
 
物を鎮定する所ありて、人心をしづむべし、斯くの如くにして重職の名に叶ふべし。

又小事に区々たれば、大事に手抜あるもの、瑣末を省く時は、自然と大事抜け目

あるべからず。斯くの如くして大臣の名に叶ふべし。
 
凡そ政事は名を正すより始まる。

今先づ重職大臣の名を正すを本始となすのみ。
 
 
二. 大臣の心得は、先づ諸有司の了簡(りょうけん)を尽くさしめて、
 
是れを公平に裁決する所其の職なるべし。
 
もし有司の了簡より一層能(よ)き了簡有りとも、さして害なき事は、

有司の議を用いるにしかず。有司を引き立て、気乗り能(よ)き様に駆使する事、

要務にて候。又些少の過失に目つきて、人を容れ用いる事ならねば、
 
取るべき人は一人も無き之れ様になるべし。功を以て過を補はしむる事可也。
 
又堅才と云ふ程のものは無くても、其の藩だけの相応のものは有るべし。
 
人々に択(よ)り嫌いなく、愛憎の私心を去って用ゆべし。

自分流儀のものを取り計るは、水へ水をさす類にて、塩梅を調和するに

非ず。平生嫌ひな人を能(よ)く用いると云ふ事こそ手際なり。
 
此の工夫あるべし。
 
 
上記簡訳
 
  素読AITALKせいじ 

一条、重職はそれにふさわしい威厳が必要である。

 重職は国の重大事を主君に代わって処理する「重い職」であり、

軽々しくしてはならない。油断があるようではとても務まらない。

立ち居振る舞いから言葉遣いまで重厚で威厳があるよう心がけよ。

重みがあって初めて成果が上がり、鎮め定めるから人心も落ち着く

のである。

些細なことに気をとられると重大事が疎かになってしまう。

重職は瑣末なことをできるだけ省き、重大事にぬかりがないように

するのだ。

 政治とはそれぞれの者が立場にふさわしい義務を果たすことから

始まる。したがって今はまず重職の職務と義務を明らかにすること

から始めたのである。
 
二条.重職は自分の好みでない部下を尊重して使え。

役人たちに意見を出させじゅうぶん検討させた結果を公平に裁決する

のが重職の仕事と心得よ。

たとえ役人たちより良い考えがあったとしても、さして害がないなら

役人の自主的な意見を採用するほうがいい。

役人たちの意見を尊重し、やる気を起こさせ、存分に働かせるのが

重職の重要な仕事なのだ。

わずかな過失を咎めていては使える部下は一人もいなくなってしまう

だろう。

過失を犯した部下にもチャンスを与えて功績で償わせることもできる。

そこそこの人材は藩内にもいるはずである。

選り好みをせず私心を取り去って人を用いなければならない。

重職が自分と意見を同じくする者ばかり用いると組織は偏ってしまう。

異なる人材が意見を戦わせながら全体として調和している組織の健全さ

は失われるだろう。

自分の好みでない部下をこそ尊重して用いる。

これこそ人使いの要諦である。
 
                                     参考文献:重職心得箇条 佐藤一斎 平凡社
   
 
(三)古事記を素読しよう。
 
    素読AITALKのぞみ
 
八俣の大蛇(2)
 
かれ、告りたまいし随に、かく設け備えて待ちし時、その八俣の大蛇
 
まことに言の如来つ。
 
すなわち船ごとに己が頭を垂れ入れて。其の酒を飲みき。
 
ここに飲み酔いて留まり伏し寝ねき。
 
ここに速須佐之男命、その佩かせる十拳剣を抜きて。
 
その蛇を切りはふりたまひしかば、肥河血に変わりて流れき。
 
かれ、その中の尾を切りたまひし時、御刀の刃毀けき。
 
ここに恠しと思ほして、御刀の前もちて刺し割きて見たまえば、都牟羽の太刀あり。
 
かれ、この大刀を取り、異しき物と思ほして、天照大御神に白し上げたまひき。
 
こは草薙の大刀なり。
 
かれ、ここをもちてその速須佐之男命、宮造るべき地を出雲国に求ぎたまひき。
 
ここに須賀の地に到りまして詔りたまはく、
 
 「吾ここに来て、我が御心すがすがし」
 
とのりたまひて、そこに宮を作りて、座しき。
 
かれ、そこは今に須賀という。
 
この大神、初め須賀宮を作りたまひし時、
 
そこより雲立ち騰りき。
 
ここに御歌を作みたまひき。
 
その歌に曰く、
 
八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を
 
 ここにその足名椎神を喚びて、
 
 「汝はわが宮の首に任けむ」と告りたまひ、
 
また名を負せて稲田宮主須賀之八耳神と号けたまひき。

 
 
上記の簡訳:

そのヤマタノヲロチがやって来た。

すぐに酒桶ごとに自分の頭を垂れ入れてその酒を飲み出した。

飲んで酔って寝てしまいました。

ハヤスサノヲ命は、その身につけている十拳剣(とつかのつるぎ)を抜き

そのヲロチを切り刻むと、肥河が真赤な血となって流れました。

 命が中の尾を切り刻んだ時、剣の刃が欠けたのです。

そこで不思議に思い、剣先を刺して裂いて見ると、

都牟羽の大刀(つむはのたち)がありました。

そこでこの太刀を取り、不思議な物だと思って、アマテラス大神に申し上げた。

これが
 
草薙の大刀(くさなぎのたち)である。
 
スサノウ命は、宮を造る土地を出雲国に求めました。

そして須賀の地に到り、「私はここに来て、私の心は清々しい」と言って、

そこに宮を造って住んだ。それでこの地を今、須賀と言う。
 
この大神が、初めて須賀宮を作った時に、そこから雲が立ち昇りましたので

歌を作りました。

その詠んだ歌は、
 
  八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を
 
盛んに立ち昇る雲が、八重の垣をめぐらしている。新妻を篭らせるために、

八重垣をめぐらしている。あの素晴らしい八重垣よ。
 
  そこでそのアシナヅチ神を呼び、「あなたを私の宮の首長に任じよう」と言い、

また名を与えて、稲田の宮主須賀の八耳(イナダノミヤヌシスガノヤツミミ)神

と名付けました。 
              
      参考文献:古事記(上)次田真幸訳 講談社
            古事記       角川文庫
            古事記  倉野憲司校注 岩波文庫
            古事記 NHKテレビ 100分DE名著 
          古事記 福永武彦 訳 河出文庫
 
 
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