漢文を音読しょうNO,52

                                                              

 
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                                                 2014.3.10
(一)クリミア半島へロシヤ軍事介入
 
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冬季オリンピックが終わりパラリンピック開幕前にロシャが

クロアチアのクリミア半島を軍事介入する問題が生じています。

このロシャに対してヨーロッパ、アメリカは国際法的に違反して

いる行為であると相次いで批判し制裁行動を実施することを明確

にしています。それに対しロシヤ、プーチン大統領は其の脅しには

屈しない、断固として独自の行動をとる事を明言しています。
 
日本はアメリカに対し同調はするものの制裁に対しては態度を

保留している。

ここで問題になるのはクリミア国民はロシヤに編入を希望するかを

問う選挙を16日に行うことを発表している。

この半島はソ連時代にはロシヤの地域であったために大半がロシヤ人

で12%がタタール人であります。従って言語もロシヤ語を使用して

います。
ここで日本の政治判断としての行動の是非が問題となります。

例えば日本には尖閣諸島の問題を抱えている、もし中国が沖縄を軍事

介入されて侵略されてしまった場合同じように沖縄国民に中国への編入

の選挙をするような状態を危惧する問題が生じる可能性がある。
 
これはあくまで想像上の問題であります。

しかし、クリミアがロシャに編入するような事態になった場合は中国も

同じ行動を起こす心配は十分に在りうるのであります。

それは中国内問題は何時内乱状態になっても不思議ではない状態にある

ためにその不満エネルギーをそらす為には何でもありの国家でありますから

同じ手口を必ず使用してくるでありましょう。
 
アメリカと同様になんらかのロシヤに制裁をすれば北方四島返還交渉は没になる

ことを覚悟しなければなりません。

ロシヤに温和な態度をとればアメリカと亀裂が生じてしまいます。

人生とはどちらに決断しても必ず問題が残るような正解のない状況はあるものです。
 
アメリカは軍事介入はしないと断言しています、ここにオバマの弱気な、不戦の

姿勢が出てしまい、6月にロシヤ主体のサミットを不参加を発表しています。

ロシヤの要人達の資金の凍結の制裁を検討すると報告しています。
 
日本としては中国への隙を見せないために極秘に近隣諸国に働きかけ、6月の7カ国

サミットを実施させること、クリミヤ半島を最悪でも独立国にしてロシヤには編入

させない交渉をしていくべきでありましょう。

こういう難解な問題があればこそ実際にあって議論することがG7サミットの目的であった

ことを前提に日本の外交交渉が試される時期にきています。

 

 
(二)洗心洞箚記(さっき)を音読しよう。
 
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洗心洞箚記ー大塩平八郎(中斎)著(1793〜1837)
 
○身体髪膚、之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始め也と。

 吾れ惟へらく、心の徳、之を天に受く。敢えてその徳を毀傷せざるは、

 孝の要なり。
 
○身外の虚とは、即ち吾が心の本体なり。

 故に曰く、「大を語れば、天下能く載する莫し」と
 
○形よりして言えば、則ち身は心をつつみ、心は身の内に在り。

道よりして観れば、則ち心は身をつつみ、身は心の内に在り。

其の心は身の内に在りと謂うもの、一たび操り存する功を遺つれば

則ち物我を累す。其の身は心の内に在りと覚るもの、常に超脱の妙

を得て、而して我れ物を役す。物を役すると物に累さるるとの別は、

学者宜しく之を知るべし。
 
参考文献 佐藤一斎 大塩中斎 日本思想体系46
 
 
(三)福翁自伝を音読しよう。
 
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競争の二字を消す。

まずその時の徳川政府の頑固な一例を申せば、こういうことがある。

私がチエーンバーの経済論を一冊持っていて、何かの話のついでに

御勘定方の有力な人即ちいまで申せば大蔵省中の重要の職にいる人に、

その経済書のことを語ると大層喜んで、ドウカ目録だけでもいいから

是非見たいと所望するから、早速翻訳する内に、コンペチションという

言語に出会い、いろいろ考えた末、競争という訳字を作り出してこれに

あてはめ、前後二十条ばかりの目録を翻訳してこれを見せた所が、その

これをみてしきりに感心していたようだが、「イヤここに争いと言う

字がある、ドウもこれが穏やかでない、ドンナことであるか」「ドンナ

ことってこれは何も珍しいことは無い」日本の商人のしているとおり、

隣で物を安く売ると言えばこっちの店ではソレより安くしよう、又甲の

商人が品物を良くするといえば乙はソレよりも一層良くして客を呼ぼう

と、こういうので、またある金貸しが利息下げれば、隣の金貸しも割合

を安くして店の繁盛を図ると言うようなことで、互いに競い争うて、ソレ

でもってちゃんと物価も定まれば金利も極まる、これを名づけて競争という

のでござる」「なるほど、そうか、西洋の流儀はキツイものだね」

「なにもキツイことはない、ソレですべて商売世界の大本が極まるのある」

「そういえば、わからないことはないがなにぶんドウモ争いと言う文字が

穏やかならぬ。これでは御老中方へ御覧に入れることができない」と、妙な

ことをいうその様子を見るに、経済書中に人間互いに相譲るとかいうような

文字がみたいのであろう。例えば商売をしながらも忠君愛国、国家の為には

無代価でも売るとかいうような意味が記してあったらば気に入るであろうが、

それはできないから、「ドウモ争いという字がおさしかえならば、ほかに翻訳

の致しようも無いから、まるでこれは削りましょう」と言って、競争の」文字を

真っ黒に消して目録書渡したことがある。この一事でも幕府全体の気風は推察

できましょう。
 
注記)この文章で二つのことが推察できます。

一つは明治維新以前の江戸幕府の旧態依然とした考え方があったことで明治維新後

に徳川方の面々が政府に入閣しなかったことが明治維新を成功した一因であります。
 
二つ目は西洋文化の教えを取り入れる為に20万の2字熟語を作成したことです。

経済、文化、文学、軍事、唯物、機械、主観、客観、確率、新式、様式・・等々

これらの和製熟語が日清戦争後に中国からの何万という留学生が東京、神田の

古書店から購入して学び中国に持ち帰り新聞に出る大半の和製漢字に現在の中国語

になっています。

 

参考文献 福翁自伝 福沢諭吉 (1834〜1901)

  「学問のすすめ」の著者、慶応義塾大学の創立者

 

 
 
 
 
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