古典を音読しょうNO,69

                                                              

 
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(一)行為障害と功過格                          2014.8.30
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最近の報道NEWSに少年、少女の犯罪が目立ってきている、世界情勢が混沌として

世界的に戦争が多発している社会を日々報道で見聞きしている状況からも何らかの影

響を受けているのかも知れません。

しかし十代の少女が友達を殺害する事件は社会環境自体に問題があると考えて対策を

講じなければならないように感じます。
 
このような佐世保女子高生殺害事件がある前にそれを予測するような事が数多く発見

できたはずであります。 これは日本だけでなくアメリカでも同じ精神状態になり

事件を起していることが多々ありアメリカ精神医学会の統計マニュアルに行為障害

として明記されています。
 
その症例を下記に一覧しますと 

  行為障害(アメリカの精神医学会の統計マニュアル) 

1、 しばしば他人をいじめ、脅迫し、威嚇する。

2、 しばしば取っ組み合いの喧嘩をはじめる。

3、	重大な身体的障害を与えるような武器を使用したことがある。

4、	人に対して身体的に残酷であったことがある。

5、	動物に対して身体的に残酷であったことがある。	
 
6、	被害者に面と向かって行なう盗みをしたことがある。

7、	性行為を強いたことがある。

8、	重大な損害を与えるために故意に、放火したことがある。

9、	故意に他人の所有物を破壊したことがある。

10、	他人の住居、建造物または車に、侵入したことがある。 

11、	義務をのがれるために、しばしば嘘をつく。

12、	価値のある物品を盗んだことがある。
  
◎上記の精神分析の結果が一年間に3つ以上あると行為障害となっている。
 
其の他に陰隲録(いんしつろく)袁了凡著にも過ちを一悪、三悪、五悪、−百悪と

列記してその悪がエスカレートしていく状態を記しています。

功過格でみると一悪の	
								
      ・約束に背くこと。

	・不作法なる所行をなすこと。
 
	・害虫の類を殺すこと。	 》から始まっている。

  三悪の

	 ・人の不法に対して立腹すること。
 
	 ・尊卑の秩序を破ること。 

	 ・畜類を殺すこと。

  五悪の 
 
	 ・悪口して人を害すること。
 
	 ・人の家畜を殺すこと。	》エスカレートしていき

  十悪の  

	  ・人畜殺戮の道具を所有すること。

  三十悪の	
				
	 ・誹謗を作り設けて人を傷つけること。

  五十悪の	

	 ・死骸を放棄すること。

  百悪の	
		   
	 ・人を死せしむること。

これらの行為で悪習慣化していく期間が一、二年ぐらいで殺人を犯す精神状態にして

いる。
	
詳細、功過格表はクリック >>>kokakaku1.htm
 
一般的に些細な悪の行為が積み重ねられて、徐々に高じていき階段状に大事件に

繋がっているようであります。

このように考えると今も昔も、どの国でも悪を積み重ねるとより悪に深入りして

善に染まれば善功を重ねて直線的に、曲線的に方向が決定されているようです。

これは少年だけの問題でなく成人であっても、国家であっても嘘、偽り、誹謗、

中傷、悪口などから始まり人間関係の争い、国家間の争いに発展していくので

あります。
 
注記)

(十代の犯罪を無くすためには、周囲が些細な悪の行為が短期間に重大犯罪に

移行されていくことを十分に知る必要があります。)

参考文献

陰隲録を読む 安岡正篤 致知出版社
 
(ニ)落窪物語を音読しよう。
  

作者不詳 平安朝の古物語、平安朝の継子いじめ物語

源順(みなもとのしたごう)作とする説もある
    
落窪物語
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今は昔、中納言なる人の、むすめあまた持たまへるおはしき。大君、中の君に婿取り

して、西の対、東の対に、はなばなとして住ませ立てまつりたまふに、三、四の君に

裳着せたてまつりたまはむとて、かしづきそしたまふ。また、時々かよいたまいける

わかうどほり腹の君とて、母もなき御むすめおはす。北の方、心やいかがおはしけ

む、仕うつる御達の数にだに思さず、寝殿の放出の、また一間なる落窪なる所の、

二間なるになむ住ませたまいける。君達とも言わず、御方とは、ましていわせたまふ

べくもあらず。 名をつけむとすれば、さすがに、おとどの思す心あるべしと、

つつみたまいて、落窪の君と言へと宣えば、人々も、さ言う。おとども、ちごより

らうたくや思しつかずなりにけむ、まして北の方の御ままにて、はかなきこと多かり

けり。はかばかしき人もなく、乳母もなかりけり。ただ、親のおはしける時より使い

つけたる童のされたる女ぞ、後見とつけて使い給いける。あわれに思いかわして、

片時離れず。 さるは、この君のかたちは、かくかしづきたまふ御むすめなどにも

劣るまじけれど、出でまじらふことなくて、あるものとも知る人もなし。

やうやう物思い知るままに」、世の中哀れに心憂きことをのみ思されければかくのみ

ぞうち嘆く。

日にそへて憂さのみまさる世の中に

  心づくしの身をいかにせむ

と言いて、いたう物思いしりたるさまにて、大方の心様さとくて、」琴なども、習わ

す人あらば、いとよくしつべけれど、誰かは教えむ。

落窪物語 漫画

      http://www.mukashi.info/books/read/comic

参考文献

 落窪物語  新潮社
 
 
(三)啓発録を音読しよう。

安政の大獄によって二十六歳の生涯、幕末の開明派志士

橋本左内(1834〜1859)十五歳の著。
 
勉 学
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学とは習うと申す事にて、総て良き人優れたる人の善き行い善き事業を跡付けして

習い参るを云う。 故に忠義孝行の事を見ては、直ちにその忠義孝行の行為を慕い

倣い、吾もきっとその人の忠義孝行に負けず劣らず、勤め行い候事、学の第一義

なり。然るを後世に至り字義を誤り、詩文や読書を学と心得候はおかしき事ども

なり。詩文や読書は、右学問の具と申すものにて、刀の柄鞘や二階の階梯の如き

ものなり。

詩文読書を学文と心得候は、恰も柄鞘を刀と心得、階梯を二階と存じ候と同じ、

浅薄粗雑の至りに候。

学と申すは、忠孝の筋と文武の業とより外にはこれ無く、君に忠を竭し親に考を

尽くすの真心を以て、文武の事を骨折り勉強致し、御治世の時には、御側に召し

使われ候へば、君の御過ちを補い匡し、御徳を弥増に盛んになし奉り、御役人と

成り候時は、その役所役所の事首尾能く取り修め、依怙贔屓致さず、賄賂請謁を

受けず、公平廉直にして、その一局何れもその威に畏れ、その徳に懐き候程の仕業

をなし申すべき義を、平生に心掛け居り、不幸にして乱世に逢い候

はば、各々我が居場所の任を果たして、冦族を討ち平らげ、禍乱を克ち定め申す

べく、或は太刀槍の功名、組打の手柄致し、或は陣屋の中にありて謀略を賛画して

敵を鏖(みなごろし)にし、或は兵糧小荷駄の奉行となりて万兵の飢渇致さず、

兵力の減らざるように心配致し候事など、かねがね修練致すべき義に候。

これ等の事を致し候には、胸に古今を包み、腹に形勢機略を諳んじ蔵め居らずしては、

叶わぬ事ども多く候へば、学問を専務として勉め行うべきは、読書して吾がは知識を

明らかに致し、吾が心胆を練り候事肝要に候。
 
 参考文献

 啓発録 橋本左内 講談社学術文庫

 

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