古典を音読しょうNO,88

                                                              

 
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                                                                      2015.3.10
(一)ノーベル賞受賞者・劉曉波から見た天安門事件
 
  読み上げ音声
 
劉暁波氏は天安門事件に対して

人殺し政権は人を絶望させる、人殺し政権と殺された者を冷淡に忘れる心をもつ民族

はさらに人を絶望させる。

天安門事件は取り締まりを厳しく制約すると事前にデモ主催者に通告していたので犠

牲者はなかったということになっている。国内、国外でも通説として一切事件はな

かったとしている。 しかし実際は1989年6月4日の天安門事件は三千名の死

者、数千名の犠牲者を出していた。

其の中で一台の気の触れたような戦車が天安門から六部口まで撤退した学生の隊列に

突き進み、避け切れなかったものは、戦車のキャタビラーに押しつぶされ、血だるま

になった。  この一台の戦車の犠牲者は死者5人、怪我9人の合せて14人で

あった。 完全武装の軍隊と戦車、装甲車を出動させ、一般民衆と学生に対処して

大虐殺を犯したことを何もなかったという官権の沈黙したまま情報を一切報道して

いない。

共産党がこの事件に際して隠蔽を行う理由は文化大革命で数百万人の大虐殺があった

ことを暴露に繋がることを怖れているのであります。民衆に対して軍隊の無法虐殺の

対処の仕方は天安門事件が文化大革命の集大成であったのです。

 
2008年12月10日に発表された08憲章ー劉暁波

この発表により国家転覆罪としてチャイナ共産党により逮捕された。

基本理念

○自由ーー 言論、出版、信仰、集会、結社、移動の自由

○人権ーー 全ての人が生まれながらにして有している権利、国家は人民に奉仕し、

     政府は、人民のために存在するのだ。

○平等ーー 社会的地位、職業、性別、経済状況、人種に関わらず平等

○共和ーー 皆が共同で統治し、平和に共生する。

○民主ーー 主権在民と民選政府である。

○憲政ーー 法律の規定と法治によって、憲法が定めた公民の基本的自由と権利を

      保障する原則

その後に19項目の基本的主張を記しています。

他国であれば共通の常識項目でありますがこの憲章によって逮捕されたことは、いか

にチャイナ国が異常国家である証であろうと思います。
 
参考文献

天安門事件から「08憲章」へ  劉暁波  藤原書店
 
  

(二)世阿弥 申楽(さるがく)談儀を音読しよう。

世 阿 弥 (ぜあみ)(1333〜1384年)
 
  音読音声
 
拍子のこと

拍子の詰め開きは、たとえば、一間・二間・三間と其の間間定まれる如し。

其の内に、文字の足らぬをば延べ、文字の余るをばよする也。

猶猶深き口傳有るべし。

「旅人の、道さまたげに摘むものは、いくたの小野の若菜也、由無や何を問い給う」

由無や何を問い給う」と続くるが悪ろき也。

「由無や」と云きりて、「何を」と云うべし。「由無や」をば寄すべし。

げに心なき海士なれ共、所からとて面(おも)白さよ」

「面」持ちて、「しろ」を拾うべし。

時知らぬ山と詠みしも」、か様の「山と云う所、寄する也。いづれにも渡るべし。

か様の所にて、音曲延ぶる也。富士の能なり。

「恐ろしや」と云う所、りやうをかけて、ちうに言う所を、今程永むる、悪ろし。

是より懸かりを体にして、ひつたと音曲に懸かるべし。

「共の物狂ひと」ここは節に掛かるまじ。

「言われさせ」、「させ」と急に切るべし。

「人間憂いの花盛り、無常の嵐音添い」の「無常の」と移る所、

悠々としても延ぶべし。

料簡大事也。無常の「む」を盗みて、「じやうの」という文字の先を切るべし。

寂寞たる深谷」張るべし。八幡に「七日七夜」の所、「百王万歳」の所、

寄せられし也。

言い下すてにはの字を、下の句の文字頭に置くことも有り。

かの昭君の黛は、緑の色に匂いしも春や繰るらん糸柳の」

「の」文字、柳にて切りて「の思い乱るる」というべし。
 
参考文献

申楽談儀 世阿弥 岩波文庫
 
 
(三)武道伝来記を音読しよう
 
作 井原西鶴井原 西鶴  1642年〜 1693年 江戸時代の大坂の浮世草子・人形浄瑠璃

『好色一代男』をはじめとする浮世草子の作者として知られる。
 
  音読音声
 
思い入れ吹く女尺八(続)
 
其内にすえの女のあまた来たれば、村之助、是非なく立ち帰り装束ぬぎ捨て、各々

より跡に残り、又竹垣をみれば、彼娘も、殿めづらしく、恋をふくみ、かさねて花

園に立出しにに、わりなく、物いひかはして。

筆にて心をかよわす迄もなく、忍び」てゆかばといえば、それをいやとはいわぬ

女と。男に約束深く、闇になる夜を待ちて。裏道より高塀を越え、身を捨て通えば、

女も偽りなく、猿戸の鑰を盗み出し、人しれず我がねまに引き入、ふたりが命を

かけて。二世迄かわるなかはらじと互いに小指を喰い切。其血をひとつに絞り出し、

女は男の肌着に誓紙をかけば、男は女の下着にかきかわして。

後には、恋の詞も儘て、逢うたびに物はいわず、泪に更けて別れを惜しみ、次第に

つのるは、此の道のならいぞかし。情けの日数」かさなるを、天鳶詔叶いて後祝言の

事共取り急ぎしに、

参考文献

武道伝来記  井原西鶴  岩波書店  
 
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