福は徼(もと)む

      トップページへ



1.福は徼(もと)むべからず。喜神〔きしん)を養い以(もっ)て福を
  
  招くの本(もと)を為(な)さんのみ。

  禍(わざわい)は避(さ)くべからず。 

  殺気を去って以て禍に遠ざかるの方(ほう)を為さんのみ。


2.地の穢(けが)れたる者は多く物を生じ、水の清(す)める者は

  常に魚(うお)なし。

  故に君子は当(まさ)に垢(こう)を含み汚(お)を納(い)
  
  るるの量を存すべし。

  潔(けつ)を好み、独り行ふの操(みさお)

  を持(じ)す可(べ)からず。
 

3.人の小過(しょうか)を責めず、人の陰私(いんし)を発(あば)

  かず、人の旧悪(きゅうあく)を念(おも)はず、三者もって徳

  を養ふべく、亦た以て害に遠ざかるべし。

   陰私ー秘密      小過ー小さなあやまち


4.人は月を看(み)るに、皆、 徒(いたずら)に看るなり。

   須(すべか)らく此(ここ)に於て宇宙 窮(きわ)まり

   無きの概(がい)を想うべし。

 
5.諺に云う禍は下(しも)より起こると。余(よ)謂(い)う

   是れ国を亡ぼすの言なり。人主(じんしゅ)をして誤りて

   之(これ)を信ぜしむ可(べ)からずと

   凡(およ)そ禍は皆 上(かみ)よりして起こる。

   其の下(しも)より出(い)ずる者といえども、

   而も亦必ず致す所有り。

  成湯之誥(せいとうのこう)に曰(いわ)く、

  爾(なんじ)万方(まんぽう)の

  罪あるは予(わ)れ一人に在りと。

  人主たる者は、当(まさ)に

  この言(げん)を監(かんが)みるべし。

   成湯之誥ー殷の湯王の訓告の言葉 
   爾万方ー全国すべての人々   監ー理想、見本、







   (1)福不可徼。養喜神以為召福之本而已 。禍不可避

      去殺機以為遠禍之方而已。     采根譚

  
   (2)地之穢者多生物。水之清者常無魚。故君子当存含垢納
   
      汚之量。 不可持好潔独行之操。  采根譚

   

   (3)不責人小過。不発人陰私。不念人旧悪。三者可以養徳。

      亦可以遠害。           采根譚

   
   (4) 人看月、皆徒看也。須於此想宇宙無窮之概

                       言志録

   (5)諺云、禍自下起。余謂是亡国之言也。不可使人主誤信之。

      凡禍皆自上而起。  雖 其出於下者、而亦必有所致。

      成湯之誥曰、爾万方有罪、 在予一人為人主者、

      当監此言。            言志録
inserted by FC2 system