一に曰く、
小忠を行わせるは、 則ち大忠の賊なり。
一曰、 行小忠
則大忠之賊也。
釈語 忠-誠実
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二に曰く、
小利を顧みるは、則ち大利の残なり。
二曰、 顧小利 則大利之残也。
釈語
利-利益
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三に曰く、
行い僻(へき)にして自から用い、
諸侯に礼無きは、則ち身を亡ぼすの至りなり。
三曰、
行僻自用、無礼諸侯、則亡身之至也。
僻- かたより、粗野
自から用い-勝手きまま
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四に曰く、
治を聴くに務めずして、五音を好むは、
則ち身を窮するの事なり。
四曰、
不務聴治而好五音、則窮身之事也。
五音:
音楽
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五に曰く、
貪愎(たんぷく)にして利を喜ぶは、
則ち国を滅ぼし身を殺すの本なり。
五曰、
貧愎喜利、 則滅国殺身之本也。
貪愎ー
貪欲(どんよく)、強欲
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六に曰く、
女楽(じょがく)に耽(ふけ)り、
国政を顧(かえり)みざるは、
則ち国を亡ぼすの禍(わざわい)なり。
六曰、
耽於女楽、不顧国政、則亡国之禍也。
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七に曰く、
内を離れて遠遊し、而して諫士(かんし)を
忽(ゆるが)せにするは、
則ち身を危うくするの道なり。
七曰、
離内遠遊、而忽於諫士、則危身之道也。
諫士-
諌める人
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八に曰く、
過ちながら忠臣に聴かず、而して独り其の意
を行うは則ち高名を滅ぼして人の笑いと為る
の始めなり。
八曰、 過而不聴於忠臣、 而独行其意、 則滅高
名為人笑之始也。
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九に曰く、
内は力を量(はか)らず、外は諸侯を
恃(たの)むは則ち国削らるるの患いなり。
九曰、
内不量力、 外恃諸侯、
則削国之患也。
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十に曰く、
国は小にして礼無く、諫臣(かんしん)を
用いざるは、則ち世を絶つの勢なり。
十曰、
国小無礼、不用諌臣、則絶世之勢也。
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