聖人の道

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1聖人の道は智(ち)と巧とを去る。


智巧(ちこう)去らざれば以て


常と為(な)しがたし。


民人(みんじん)これを用うれば


その身 殃(わざわ)い多く主上(しゅじょう)


これを用(もち)うればその国危亡(きぼう)なり。


簡約ー上に立つ者は偉そうにするな、持てば災い多く、


国も滅ぼす。



2不賢(ふけん)にして賢者(けんじゃ)の師となり、


不智(ふち)にして智者の正(せい)となる、


臣(しん)はその労(ろう)を有(ゆう)し、


君(くん)はその成功を有(ゆう)す、


これをこれ賢主(けんしゅ)の経(けい)と謂うなり。


 簡約ー自分は賢くない、智はないと思っている者こそ

      進歩がある。

 
3君(くん)はその欲(ほっ)する所を

 

   見せるなかれ。


   君その欲する所を見せば、

 

   臣(しん)まさに自ら


    雕琢(ちょうたく)せんとす。



    君はその意を見せるなかれ。

 

   君その意を見せば、


 臣まさに自ら表異(ひょうい)せんとす。



   雕琢ー玉を磨く、かざる。

   簡約ー上に立つ者は心の内を見せるな、

        見せれば部下は飾るようになる。

  
4至言(しげん)は耳に忤(さから)いて心に倒す。


賢聖(けんせい)にあらざれば良く聴くなし。



簡約ー良き忠告は真の聖人でなければ聞くことは無い。
 
  
5人の詐(いつわり)を覚(さと)るも言に


形(あら)わさず人の侮(あなど)りを受くるも


色に動かさず


この中(うち)無窮(むきゅう)の意味有り、


亦(また)無窮の受用(じゅよう)あり。



簡約ー他人の偽りを受けても、馬鹿にされても、

知らぬふりをする、

その態度に極まりなき意味がある。


6.人を害するの心は有るべからず。


人を防ぐの心は無かるべからず。


これ慮(おもんばか)るに疎(うと)きを


戒(いまし)むるなり。


寧(むし)ろ人の欺(あざむ)きを受くるも


人の詐(いつわり)を逆(さか)うる毋(なか)れ
   

これ察(さつ)に傷(やぶ)るるを


警(いまし)むるなり


  
二語、並びに存(ぞん)せば

 

清明(せいめい)にして

  
渾厚(こんこう)ならん


簡約ー人を害する心を持ってはならない、人からの害を

防ぐ心を持つ必要がある。お人よしであってはならない

聡明過ぎて、人の偽りを見破りこれに対して備えをして

はならない。


 察ー推察    渾 厚ー徳が厚い

注記)

 簡約はヒント的に解釈しています、もし素読を繰り返し

この簡約は違うと判断する場合は貴方の解釈を正として

ください。
 
論語においても本により、全く違う解釈をしている場合が

あります、漢文から時代、個人によって解釈が、体得が幅

のある受け取り方があることが魅力のひとつです。

一つの解釈にとらわれないようにして、漢文の妙味
 
観じてください。

           

 

 

 

1.聖人之道、去智与巧。

 

     智巧不去、


  難以為常。民人用之、

 

 

  其身多殃 。
 

  主上用之、其国危亡 

 

           〔韓非子)


2.不賢而為賢者師、

 

   

    不智而為智者正。


  臣有其労、君有其成功,


  此之謂賢主之経。 

 

             〔韓非子)


3君無見其所欲、君見其所欲、


臣将自雕琢。君無見其意。


君見其意、臣将自表異。

          

              〔韓非子)

 
4,至言忤於耳而倒於心。


    非賢聖漠良聴。

 

           (韓非子)   

  
5.覚人之詐。不形於言。 

 

      受人之侮。


      不動於色。

 

      此中有無窮意味。


      亦有無窮受用。

 

            〔采根譚)
   
 
6.害人之心不可有。


    防人之心不可無。


此戒疎於慮也。寧受人之欺


毋逆人之詐。此警傷於察也。


二語並存精明而渾厚矣  


      〔采根譚) 

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