孟子 1
天は将(まさ)に大任(たいにん)を 是(こ)の人に降(くだ)さんとするや、 必ず先(ま)ず其(そ)の心志(しんし)を苦しめ、 其の筋骨(きんこつ)を労(ろう)せしめ、 其の体膚(たいふ)を饑(う)えしめ、 其の身(み)を空乏(くうぼう)にし、 行うこと其の為す所を払乱(ふつらん)せしむ。 語釈 大任:重大な任務。筋骨:筋肉と骨格。 体膚:身体と皮膚。空乏:貧乏。 払乱:食い違う。払いのけ乱される。 孟子−告子篇 天将降大任於是人也、 必先苦其心志、 労其筋骨、饑其体膚、 空乏其身、行払乱其所為 孟子曰く、恥の人のおけるや大なり。 その之を得れば、則ち聖賢(せいけん) 之を失えば 則ち禽獣(きんじゅう)たるを以てのみ。 此れ過(あやま)ちを改(あらた)むるの機なり。 簡訳:
孟子の言葉に恥を知ることは人間にとって大切な 恥を感じ得ればその人は立派な聖人であり賢人となる、 これを感じない人は禽獣な心を持った人である。 この恥を感じ得たときこそ言行を改める機会であろう。 漢文 孟子曰、恥之於人大矣。 以其得之則聖賢、 失之則禽獣耳。 此改過之機也。 孟子−離婁篇(りろうへん) 人を愛して親(した)しまずんば、 その仁(じん)に反(かえ)れ。 人を治(おさ)めて治(おさ)まらずんば、 その智(ち)に反(かえ)れ。 人を礼(れい)して答(こた)えずんば、 その敬(けい)に反(かえ)れ。 語釈:
仁:人を愛する。いつくしみ。 智:
知恵礼: 礼儀 敬:
人を真心こめて愛する。 反れ:
反省しなさい。 古典漢文 孟子−離婁篇(りろうへん) 愛人不親反其仁。 治人不治反其智。 礼人不答反其敬。 孟子 窮(きゅう)すれば則ち一人その身を善(よ)くし、 達すれば則ち兼(か)ねて天下を善くす。 簡訳:
困難に直面すればその人自身の修養となり、 志、目標を達成すれば自分だけでなく世の中の人々 をも善くする。 古典漢文 孟子 窮則獨善其身、 達則兼善天下。 孟子 孟子曰く、飢(う)えたる者は食を甘(うま)しとし、 喝(かつ)したる者は飲(いん)を甘(うま)しとす。 簡訳:
飢えている者はどんな食べ物でも美味いと感じ、 のどが渇いている者はどんな飲み物を飲んでも美味い と感じる。 これは真実の美味さを感じているのではない。 飢え、渇きが人心を狂わせているのである。 漢文 孟子曰、飢者甘食、 喝者甘飲。 天の時は地の利に如かず。 地の利は人の和に如かず。孟子 簡訳:
物事に成功するためには天の時運より、 地の利より人の和を得ることが重要である 漢文 天時不如地利。 地利不如人和 |