老子道(2)

 

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老子14

 

(これ)を視()れども見()えず。

 

名づけて夷(い)と曰()う。

 

(これ)を聴けども聞()こえず。

 

名づけて希()と曰()う。

 

(これ)を捕(とら)えんとすれども得()ず。

 

名づけて微()と曰()う。

 

この三者は致詰(ちきつ)す可()からず。

 

(もと)より混(こん)じて一(いち)と為()る。

簡訳: 必死に視ても見えないものがある、一般的に形

のないものこれを夷という。静かにして耳をすましても

聞こえないものがある、一般的にかすかで聞こえないもの

これを希という。

 

手で捕えようとしても掴めないものがある、これを微という。

夷(い)、希(き)、微(び)は五感では全く解明できない

ものである。

夷、希、微の基は混ざりあって一体となっている。

夷、希、微の一体を道という。又は道ータオーという。

華道、柔道、合気道、茶道、書道、弓道などはこの見えない三者を

追求する道である。

 

老子14章漢文

 

視之不見。 名曰夷。

 

聴之不聞。 名曰希。

 

捕之不得。 名曰微。

 

此三者。 不可致詰。

 

故混而為一。



老子36章

 

(まさ)に之(これ)を縮(ちぢ)めんと欲すれば、

 

(かなら)ず固(しば)らく之(これ)を張()る。

 

(まさ)に之(これ)を弱(よわ)めんと欲(ほっ)すれば、

 

必ず固(しば)らく之(これ)を強くする。

 

將(まさ)に之(これ)を廃(はい)せんと欲すれば

 

必ず固(しば)らく之(これ)を興(おこ)す。

 

(まさ)に之(これ)を奪(うば)わんと欲(ほっ)すれば

 

必ず固(しば)らく之(これ)を与える。

 

(これ)を微明(びめい)と謂()う。

 

柔弱(じゅうじゃく)は剛強(ごうきょう)に勝つ。

 

(うお)は淵(ふち)より脱(だっ)す可()からず。

 

(くに)の利器(りき)は、以て人に示す可()からず。

 

簡訳: 微明(びめい)-深遠な、微妙な叡知。

より縮めたいときは先に張って、弱くしたいときは強くさせ、

廃する時は興し盛んにさせ、奪いたいときは先ず与えてあげる。

微妙な叡知であり策略である。

物事には表面()の言動と隠された策()がある。

従い、叡知あるものは剛、強者に勝つ、魚は川の底より出る

と危ない、以て国は隠した武器、理由を他国に解らせてはいけない。

老子36章 漢文

 

將欲縮之、必固張之。

將欲弱之、必固強之。

將欲廃之、必固興之。

將欲奪之、必固与之。

是謂微明。

柔弱勝剛強。

魚不可脱於淵。

国之利器、不可以示人。

 

 

老子42章

 

万物(まんぶつ)は陰を負(お)いて陽を抱き

沖気(ちゅうき)(もっ)て和()を為()す。

人の悪(にく)む所は、

(ただ)()、寡()、不穀(ふこく)のみ。

(しか)るに王公(おうこう)は以て称(しょう)と為す。

(ゆえ)に物、或(ある)いは之(これ)を損して益し、

(ある)いは之(これ)を益(えき)して損す。

人の教える所は、我も亦(また)(これ)を教(おし)えん。

強梁(きょうりょう)なる者はその死()を得()ずと。

(われ)(まさ)に以て教父(きょうふ)と為()さんとす。

 

簡訳:

すべての物内部は陽で外面は陰の形となり調和している。

人は孤独()、ひとり者()、不善者(不穀)を嫌うが

王は呼び名にしている、

物事は陰と陽で一体である。

或るとき損をすれば必ず得がある。

或るとき益を得れば或る時損が反って来る。

すべての人への教訓は

強硬だけの人はまともな死に方はしない。

強引なるひとは大きな損を招く。

 

老子42章

万物負陰而抱陽。

沖気以為和。

人之所悪。

唯弧、寡、不穀。

而王公以為称。

故物。或損之而益。

或益之而損。

人之所教。我亦教之。

強梁者不得其死。

吾将以為教父。

 

 

老子56

 

其の兌(だ)を塞(ふさ)ぎ、

 

其の門(もん)を閉()じ。

 

其の鋭(えい)を挫(くじ)き、

 

其の紛(ふん)を解(と)く。

 

其の光(ひかり)を和(やわ)らげ、

 

其の塵(ちり)に同(どう)す。

 

これを玄同(げんどう)と謂()う。

 

語釈: 兌、門ー喜びを感じる感覚

-鋭い(知恵) -物事の複雑であること。

玄同-(天の理)と一体

和光同塵-きらびやかな光りをぼかし塵と解け合って行く

態度こそ望ましい。

 

 

老子56章

塞其兌、 閉其門。

 

挫其鋭、 解其紛。

 

和其光、 同其塵。

 

是謂玄同。

 

 

老子65章

 

古(いにしえ)の善(よ)く道を為(おさ)むる者は、

以て民を明らかにするに非ず。

将(まさ)に以て之を愚(ぐ)にせんとす。

民の治め難くして、以てその智多し。

智を以て国を治むるは、国の賊なり。

智を以て国を治めざるは国の福なり。

 

簡訳:昔の聖人は国民を賢い人にするのでなく愚かな人に

するように努めた。

国が混乱した世の中では知識人が多くなる。

学問、知識優秀者が行う政治は国民を不幸にする。

学問、知識優秀者が行わない政治は国民を幸福にする。

 

老子65章

 

古之善為道者。 非以民。

 

将以愚之。

民之難治。以其智多。

 

以智治国。国之賊。

 

不以智治国。国之福。

 

 

老子68章

 

善く士(し)たる者は武(ぶ)せず。

善く戦(いくさ)する者は怒(ど)せず。

善く勝つ者は与(よ)せず。

善く人を用いる者は下と(な)為る。

是(これ)を不争(ふそう)の徳と謂(い)う。

 

 

士− 強い者は。秀でた者は。

武せず− 武装をしない。(心の内の)

怒せず− 怒らない。

与せず− 相手にしない。

 

老子68章漢文

 

善為士者不武。

善戦者不怒。

善勝者不与。

善用人者為下。

是謂不争之徳。

 

 

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